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☆へっぽこノベリストの部屋☆

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月の雫 プロローグ

『ねぇ!ねぇ!ねぇ! 
   僕、どんな人のところに行くの?
      教えてよ、ミュラー博士! 
        優しい人のところがいいなぁ・・・
          僕を可愛がってくれる人のところ!』

あのころが、懐かしかった。

今の運命を夢にもみず、ただ飼い主との新しい生活を楽しんでいたあのころ。

「ぼく、あの金色の月に言ってみたいんだぁ」


その一言が、この生活の扉を開ける鍵、となった。


その言葉を聴いた雫の飼い主は、雫を捨ててしまったのだから。


「やだよぉ。僕、いい子にするから。捨てないでッ・・・」


いまは、人への憎しみしかない。


憎い。憎い。憎い。


周りで飼い主たちと楽しそうに跳ね回るリヴリーたちを見ると、自然に顔がゆがんでしまう。


うらやましくて、悲しくて、そんな自分が憎くて。




生き延びてやる。


その思いしかなかった。

そう。あのときまでは―――――


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